46番街

思ったことを書きます。

朝4時に何をしているんだい?

「おはよう!朝4時に何してるんだい?」

ネットの海でよく見かけるフレーズである。早朝の情報番組で洋画の宣伝をする俳優が発した台詞だ。

 

 

 朝の4時に何をしていたか、田舎町をひたすら右往左往していた。2017年の話。

 栃木県那須塩原市、旧黒磯市の中心部でただ何の目的も無く彷徨っていた。いや、目的はあった。

 当時、JR黒磯駅では構内にあった電源切替区間、所謂デッドセクションを駅間に移設する工事が進んでいた。工事が進捗すると、従来乗り入れていた交流専用電車が黒磯駅に入線できなくなる(黒磯駅付近は完全に直流電化となる)ため、新白河駅で運転系統を分断、黒磯駅から北に向かう普通列車は最長でも白河までの運行となる。

 そこで郡山・福島へと向かう東北本線を見納めようと一路黒磯へと向かった。早朝5時47分に、唯一となる仙台直通の列車があるのだ。しかし、黒磯駅周辺には宿が少なく、また安価なホテルが少なかった(ように思える)ため、早朝からの行動に難儀した。

 

 そこで、当時学生で若かった私はファミレスで朝まで時間を潰すという行動に出た。若い。今だったら絶対しない。

 幸い(?)、黒磯駅から西に20分程歩くと当時朝5時まで営業していた「ガスト」があった。そして、当時は資格試験の勉強に打ち込んでいたから、時間を潰す手段もあった。

 宇都宮方面から黒磯までの最終列車に乗り込み、日付が変わる少し前に黒磯駅に着いた。暗い道をひたすら歩き、入店。夜食とドリンクバーのコーヒーを胃に流し込みつつ、ずっと勉強しながら、夜が更けるのを待った。

 

 しかし、4時になるぐらいで眠気がピークに達した。入店時には疎らにいた他の客も次第にいなくなったこともあり、居ても立っても居られなくなって退店した。目的の列車まであと1時間40分もある。

 黒磯駅周辺にこんな朝早くから開いている店は無かったので、とにかく歩き回った。10月に突入し、とても寒かった記憶がある。しばらく進んでコンビニに立ち寄って食料補給をしたり、来た道をずっと戻ってひたすらに時間が過ぎるのを待った。道中、住宅街の中で番犬に吠えられたのを鮮明に覚えている。朝4時に見知らぬ人間が歩いていたらそれは警戒して吠えたくもなる。

 こんなことをしていると次第に冷静になっていって、「何をしているんだろう」という疑問がわいてくる。自分が考えてとった行動なんだから、自分にしか分からないものだが、自分でも分からなくなった。

 

 

 半ば自棄になっていたところで気が付くと5時を回り、駅が開いた。やっと無意味な徘徊から解放される。安堵して駅に足を踏み入れた。

 

 しかし、仙台行きと小田原行きの”普通列車”が一堂に会するとは凄い光景である。長距離鈍行が多く存在していた国鉄時代ならともかくである。

 

 

 夜が明けて、早朝の空気感を味わうのが好きだ。澄み渡った空気と静寂、朝焼けの始まり。

 黒磯駅もしばらく通過していないが、電源切替を行うために張り巡らされた設備は無くなってしまったのだろうか。

 

 そして、無事に仙台行きに乗り込み、黒磯駅を去った。東北お馴染みの2両ロングシート車を3本繋いだ構成であったが、これも現在では黒磯駅まで来ることが出来なくなった。鈍行旅の時に黒磯でこいつを見ると「いよいよ東北だ」と高揚したものだが、現在は県境を越えて新白河まで行かないと見ることが出来なくなった。

 

 以上、唐突な昔話であった。諸事情でとても暇になったので思い立って過去の何かを振り返ってみようと書き連ねたが、中身は何もない。