仕事が休みのある日、関東在住の付き合いの長いフォロワーが関西に来るということで、1日ご一緒させてもらうことになった。
大まかな目的として、①枚方に行く②阪神間~神戸市内に行く、という指針は提示されていた。だが、ほぼノープランというので、軽い案内役も兼ねての同行となった。

昼前に枚方市駅で合流する。最初に昼食を摂ることになった。
枚方市駅そばのイオンが入る商業施設に、目的地のラーメン屋があった。

ラーメン麓
上品かつ奥深い出汁の味わいが美味。低温調理された大きなチャーシューもしっかりとした味わいだった。炒飯も好みの味付け。
腹ごしらえも済ませ、駅前を散策する。
ところでなぜ枚方なのか疑問に思ったが、フォロワー氏のルーツが枚方なのだという。と言っても、幼少期の事なので記憶にある光景は少ないようだが。
主たる目的は別の場所のようなので、枚方市駅の周辺は、とりあえず駅前を見る。
駅を出て左手、蔦屋書店の入る商業施設が目立つ。元々は近鉄百貨店が立地していた。初めて枚方市駅に降り立った頃(2009年)はまだ近鉄百貨店だった。一方、右手のサンプラザはそのままだ。
最近は駅の西側、京阪本線と交野線の分岐した地点に新たなビルが建った。低層階には枚方モールという商業施設が入る。
一通り見た後、交野線で村野へと移動した。

村野駅を降りると、反対側のホームからの景色が目に飛び込む。田畑の奥の小高い所に、びっしりと住宅が並ぶ。枚方・交野近辺の景色ってこんな感じだよなと思いつつ、青空を交えてシャッターを切った。
駅を降りて北に歩く。宮之阪まで歩くとのこと。そのまま進んだら20分ほど。星ヶ丘・宮之阪と2駅ある割には意外と近い。


星ヶ丘の駅前はこぢんまりとしながらも商店が建ち並んでいた。
かき氷の文字が目に飛び込み、暑いし少し食べたくなってしまったが、我慢。そもそも9月も終わりなのにかき氷って。しかし何の違和感も覚えないぐらい、最近の9月は暑い。

引き続き徒歩で進んでいく。倉庫か車庫か、えらく長いシャッターの並びを過ぎ、交差点を右折する。
フォロワーの記憶の中にあるひとつが、お城だという。お城と言っても、この辺りに城郭や城址がある訳ではない。西洋のお城風の建物だ。要はラブホテル。

この界隈では多少知れているらしい。国道1号沿いとはいえ、すぐそばは住宅密集地である。否が応でも目立つ。
記憶の中にある時代とは運営者が変わっているらしい。現在は恐竜を全面に推している。ラブホテルも千差万別で様々なコンセプトのものがあるが、恐竜とは。
入口そばのトリケラトプスが動いていた。思わず福井駅前かよとツッコミを入れてしまう。


宮之阪駅前は先程の2駅と比べ開けており、商店街も形成されている。
ここから再び京阪電車に乗った。枚方市で乗り換え、一気に京橋まで移動する。
環状線で大阪へ移動し、阪急大阪梅田駅に向かった。ここからは第2の目的である阪神間地域と神戸市内の散策である。
フォロワーはとあるエッセイを読んでこのエリアに興味を持っている。度々Discordでの通話でもその話題を聞いていた。
ちょうど阪神間や神戸市内は普段の行動圏であるし、何度か散策している。案内役を買って出るにはうってつけだ。
最初の目的地を決めてもらう。梅田駅のコンコースのディスプレイで路線図を眺めながら、まずは夙川に行く事にした。
新開地行き特急に揺られる。神戸線はほぼ直線で駅間距離も長いので昼間は前が詰まることも無く、なかなかに飛ばす。色々喋りながら、あっという間に夙川駅に着いた。

夙川は桜の時期に来るのが一番良いが、そうでない時期も風情がある。
1羽の鴨が波を立てながらゆったりと移動していき、その上をJRの新快速が一瞬で過ぎ去ってゆく。まるで対象的な組み合わせをのんびりと眺める。
本当は他にも色々紹介しつつ、香櫨園や阪神西宮まで行きたいところだが、時間も限られているので移動する。
次は岡本に行くことにした。既にJR沿いまで来ていたので、さくら夙川からJR神戸線に乗車し、岡本駅に近い摂津本山で降りた。
山手幹線を越えると一気に洒落た雰囲気になる。意外とお店は(地場のものを含め)チェーン店ばかりだが。
そういえば岡本では写真を撮っていないが、先月ぐらいに散策したのでまあよい。

岡本の次は六甲へと向かった。まずは通過線を行く特急を撮る。

ここは駅直結の歩道橋から海が見える。もう少し山手側に歩けばよく見えるが、ここからでも十分だ。
海の向こうに見えるのは六甲アイランド。一瞬大阪湾の反対側にある南港や堺かと思ったが、それにしては近すぎる。

再び移動する。六甲からは1駅進み王子公園で降りた。
個人的に、阪急沿いで神戸の街中の雰囲気を感じるのはここから。やはり水道筋周辺の存在が大きい。以東の高級住宅地のイメージから、神戸!というイメージにガラッと変わる。

坂バスが横切る。灘センター商店街のアーケード街を走るバスとして、件のエッセイでも紹介されていた。

商店街のアーケードの先には阪急電車が通る。十三以来の光景だ。
次は春日野道まで徒歩で移動する。最初は三宮までという提案があった。以前に三宮から王子公園まで1度歩いた事があったが、とても長かった。その記憶があったので、春日野道までの移動と相成った。

王子公園~花隈の高架は開業当時からのもので、年季が入っている。高架下に入るテナントも新しい店舗から味のあるものまで様々。

アーチも特徴的だ。これらはよく震災を乗り越えたなと思う。
周辺の地形に比べて阪急の高架橋は傾らかな勾配であるだめ、場所によっては地上3~4階ぐらいの高さがある。当時から技術はあったのだろうが、戦前の高架橋なのに凄いとただただ感心する。


並行する大日商店街のディープな雰囲気を時折感じながら、しばらく進み春日野道駅へ辿り着いた。ここまで来ると完全に神戸だ。
春日野道から阪急に乗る。一気に新開地まで行くことにした。少しだけ高速神戸に寄りつつ。新開地駅から商店街を山側に歩く。福原にちなんで、松山ケンイチ主演の大河ドラマって何だっけ?みたいな会話をしていたら、湊川公園に出た。


右側の坂を下れば古びたアーチにミナエン商店街とパルシネマしんこうえん。ミナエンタウンも濃いエリアだが今回は時間の関係でパス。

さらに北上して湊川商店街と東山商店街の分岐点から入り、湊川商店街へと進んで地下鉄の湊川公園駅まで戻った。2階部分も回廊があり立体的な商店街である。
湊川公園駅からは地下鉄に乗り板宿駅で下車。ここでの目的は件のエッセイのある回にちなんで鉄火巻を買うこと。しかし、目的の店ではすでに売り切れ。仕方なく残っていた寿司6貫パックを購入した。
ところで板宿の市場でも鉄火巻を探そうとしてみたのだが暗いし殆どの店が閉まっていた。まさか再開発で閉店か……?と訝しんでいたら、木曜定休の文字を発見。なるほどそれはどこも閉まっているよなとガックリ。ちなみに鉄火巻のある寿司屋は開いていたが、店で食べるほどゆっくりする時間が無かったのでスルーした。
近くのコンビニでビールを買い込み、そのまま山陽電車で須磨へ。海を見ながら食べようという魂胆だ。
須磨というと若者が大量に集う、関東でいうところの湘南のようなイメージだ。海水浴シーズンは終了していたとはいえ、どうだろうかと不安を抱きながらJRの駅の自由通路を抜ける。突き当りの、大阪湾が一望できるエリアこそ多少の人だかりはできていたが、いざ砂浜を見てみると人は多いもののごった返している様子はない。

これぐらいならと砂浜へと至る階段に腰を掛けた。ビールで乾杯し、板宿で買った寿司をいただく。


もう夕方であるし値引き品となっていたが、それなりに美味しくてペロリと平らげてしまった。海を眺め、海風を浴びながらビールを煽る。

既に日も沈み、遠くの空が僅かに茜色で、ほとんど群青に染まっていた。
須磨海岸ということで身構えてしまっていたが、たまにはこういうのも悪くない。一人で行くのは御免だが。
しばらく語らったところで、自分もフォロワーも次の予定が差し迫っていたので、JRに乗り帰路についた。次はもっと神戸を巡ろうという話をして、途中の駅で解散した。冒頭で述べたとおり、自分は関西、フォロワーは関東。しばらくのお別れだ。
…3日後にまた飲みに行ったのだが。
